【短編小説】高校生昇華物語
私の式錢くんとの日々が10日を過ぎた頃──


「よお、ネエチャン俺と遊んでかね?」

「…」


ナンパ野郎に絡まれた。

なんということだ。

よりにもよって式錢くんを校門前で待っている時に…。

んー。

もうちょい粘ってれば式錢くんが来てくれる筈だから…うむ、我慢我慢。


「私、人を待っているので…」

「えー? いーじゃねーかよ、ちょっとくらい遊んでよ。俺、ネエチャンくらいの体型好みだし、まじで」


うっわ、キモ。

関わりたくなかったわ、まじで。

ていうか、まだ粘るのかよ。

ナンパ野郎は押しの弱そうな私を狙ったんだ!

宇井と同じで。

クッ!

私はどうしてこうも周囲の人間にナメられる…!

…どうして!


「ねえ、いいじゃんかよ?」

言いながらナンパ野郎は私の身体を触ってきた。

「…ッ!」

やめろッ!


ガッ!


無意識の内に私はナンパ野郎をぶん殴っていた。
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