【短編小説】高校生昇華物語
この事があって──私は少し、勘違いしてしまったのかもしれない。

私はもう、変わったと。

私はもう、前までの私ではない、と。


そんな早くに、変われる筈もないのに。

私ごときが、そんな簡単に、変われる筈もないのに。


ナンパ野郎の一人を退治できたくらいで図に乗った私は馬鹿だった。


もしもあのときのナンパ野郎が複数人だった場合。

もしもナンパ野郎がもう少し強かった場合。


きっとその場合私はひとたまりもなかった。


あの選択も、もしかしたら間違っていたかもしれない。

あれでナンパ野郎を怒らせてしまって強姦されていたかもしれない。


全く考えていなかった。

その場しのぎで、ラッキーで助かったに過ぎなかったというのに。



私は勘違いしてしまった。

私はもう、強くなったと。
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