【短編小説】高校生昇華物語
ふざけた話だ。

噂に聞いていたとはいえ、初対面の──しかも学園最凶の──男に会って早々に喧嘩を売られ、仕舞いには「一発殴らせろ」だのと訳のわからないジャイアンみたいなことを言われるだなんて。

しかし、前回のナンパ野郎のことで愚かしくも自信過剰自意識過剰勘違い女になっていた私は、気乗りしない感じで相手を殴りつけようとした。

そんな拳、学園最凶には届く筈もなかったというのに。


梶原は帰っていった。

ズタズタの私の身体を残して。



意識が遠く退いていく。


誰かが私の身体を持って連れていくのがわかったが、もう身体のどこも動かなかった。
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