【短編小説】高校生昇華物語
──目を覚ます。


誰かの背中に背負われていた。

式錢くんだ。


「おぉう、起きたか。相沢」

「ちょっと! 降ろしてよ! 変態!」

「誰が変態だ! コノヤロー」

「…」

「…ったく、降ろしたところで今の状態のお前じゃ歩くことは愚か立つこともギリギリだぞ」

そっか、私梶原に負けてズタズタにされたんだった。

そう思うと喧嘩に負けた悔しさと式錢くんの声を聞いた後の安堵で涙が溢れ出てきた。


「なんだよ、お前泣いてんのか」

「やっぱり私には無理だった。変わることなんかできなかった。…強くなんてなれなかった」

「愚かだな──1回負けたくらいでなんだよ」

「五月蝿い。童顔低身長」

「今は俺の童顔も低身長も関係ねーだろ。って、誰が童顔低身長だ!」

「もう…無理だよ…」

「……自身を変え、己を変えろ! …お前だって変われるってことを、自分自身に証明して見せろよ!」
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