【短編小説】高校生昇華物語
その子は、片手に竹刀を持った身長の低い童顔な男の子だった。
その子の周りには、散らばるように倒れた私の上っ面だけの仲間。
この子がやったのだろうか。
この人数差で、竹刀一本で、倒したというのだろうか。
そんなことを考える。
にやり。
男の子は確かに笑った。
「隠れてねーで、出てこいよ」
柱の影に隠れていたことは既にバレていたらしい。
素直に出ていく。
「あんまり手応えがねーからつまんなくってよ。こいつら」
男の子は言う。
やっぱりこの子が倒したらしい。
「こ、こんな…」
声は震えている。
「ああん?」
「こんなことして許されると思ってるの!?」
「許されるだろ。こいつらが先に喧嘩ふっかけてきたんだからな。まあ、許されなくてもいいけどな。許されなかったら、邪魔なやつ片っ端からぶっ倒すだけだ」
「…」
発想が過激過ぎる。
「お前こそ、何してるんだ。こんなところで」
お前もこいつらの仲間なのか?と男の子は私に尋ねる。
仲間。
望んでいたわけではない。
今ここで、「仲間じゃない」とはっきり言えば、私は見逃してもらえるのだろうか。
否。
この子に見逃してもらえても、宇井たちは見逃してくれないだろう。
仲間になんて、なりたくなかった。
その子の周りには、散らばるように倒れた私の上っ面だけの仲間。
この子がやったのだろうか。
この人数差で、竹刀一本で、倒したというのだろうか。
そんなことを考える。
にやり。
男の子は確かに笑った。
「隠れてねーで、出てこいよ」
柱の影に隠れていたことは既にバレていたらしい。
素直に出ていく。
「あんまり手応えがねーからつまんなくってよ。こいつら」
男の子は言う。
やっぱりこの子が倒したらしい。
「こ、こんな…」
声は震えている。
「ああん?」
「こんなことして許されると思ってるの!?」
「許されるだろ。こいつらが先に喧嘩ふっかけてきたんだからな。まあ、許されなくてもいいけどな。許されなかったら、邪魔なやつ片っ端からぶっ倒すだけだ」
「…」
発想が過激過ぎる。
「お前こそ、何してるんだ。こんなところで」
お前もこいつらの仲間なのか?と男の子は私に尋ねる。
仲間。
望んでいたわけではない。
今ここで、「仲間じゃない」とはっきり言えば、私は見逃してもらえるのだろうか。
否。
この子に見逃してもらえても、宇井たちは見逃してくれないだろう。
仲間になんて、なりたくなかった。