きえない名。～未来のぼくらへ～

あとから聞いた話だが、

その運転手は、父を見るなり土下座をし、謝り始めたそうだ。

何度も、何度も。

一緒に来ていた奥さんも運転手と同じように土下座で謝り始めたそうだ。

同時に共に来ていた警察官から運転手の奥さんの父親の会社が倒産し、

その借金を肩代わりした運転手の無理な労働が原因で起こった事故だったと伝えられたらしい。

そんな運転手の姿を見て、

父の表情から憎しみが消え、悲しみの顔になっていたと思います。

今思えば、

父は体が弱く病院通いだった母の治療費や生活費を稼ぐため無理な労働を重ねていた時期がありました。

きっとそのときの自分と重ねていたのかもしれません。

父は運転手にこういったそうです。