* KING+1 *
風を切って走る街並みを先輩に付いて行く。

先輩がものスゴく頼もしい。だってパリ地元の人みたいに スイスイと自転車で目的地に迷わずに進んでいるから…


キッ。と自転車を止め 何処に向かうのかと思いきや クレープ?

私がパリに住み着いて どんなに食べたかったか…。しかもここって、有名なお店だよ?


「先輩のお洒落アンテナは どうなっちゃってるんですか?女子力半端なく越えてますが…。」


「俺、ここの店のやつと顔見知り。昔 隣のアパートに住んでたから…。」


はぁ、どんだけ顔が利くんですか?日本でもパリでも 先輩は国を軽く越えちゃうんだから 参りました…。


「お薦めは…やっぱバターシュガー。素朴な味が旨い。」


「流石先輩、パリは小麦のお菓子が沢山ありますもんね。」


「ガレットもいいが、今日はクレープでいいか?」


「はい、クレープでいいです。
先輩、今日はどうしてこんなに優しいんですか?後で何かしっぺ返しが待ってるとか?怖いんですが…」


「は?お前の中の俺って…どんな人なんだよ?ハハ…優しいのか、これが?」


意味不明なコメントで スルーされた。
本場で食べるクレープは 日本で食べる食感とは違う パリの味がした…


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