* KING+1 *
クレープを堪能した後、少しだけ離れた場所に これは────美術館なの?

ちょっと得体の知らない洋館のような建物に ちょっと驚いていると…

「ここは ピカソ美術館だ。俺はパリでは一番好きなんだ…。」


ピカソ美術館?
思ったピカソとはイメージが違う為 それも私の勝手な思い込みだと思った。

中に入ると、やっぱりアバンギャルドな感じだけれど、ピカソの作品の全てが異質ではないのがわかる。

有名処の絵画のインパクトが強いから、みんなそんな作風かと思われちゃうんだなと 何故か色々な事を考えさせられた。


ぼんやりと歩いていて 前方不注意で誰かとぶつかってしまう。


「あっ、ごめんなさい。」


「いや、大丈夫だよ。あれ?君…ルーブルにも居たよね…。今日は美術館巡りなのかな?」


いきなり聞こえた日本語に 空耳かと思ったけど、目の前に見えるのは 日本人男性?


「あれ?日本語を話すのに、話せないのかな?クスッ」


「ごめんなさい。まさか日本人に会うとか思ってなかったんで…あの。ルーブルにも行ってらしたんですか?」


「ああ、梯子をしてるよ。君、ルーブルで熱心にモナリザを長い時間見てたのは何故?」


あっ、見られてたんだ…恥ずかしい…。


「はい。余りにもモナリザが不思議なオーラを出して、私を見つめて何かを訴えていたから じっとその不思議な感覚を見ていました。」


「へぇ モナリザが不思議なオーラか。中々面白い人なんだね。

今日ここで別れたとしても 君には会える気がする。俺の感って結構当たるんだ。だからまたね、モナリザさん…。」


ウィンクをして 行ってしまった彼…
モデルの様に背が高く、顔はきれいなパーツを寄せ集めたみたいな男の人。

圧倒されて 余り答える事が出来なかったけれど、やたら発言がキザな人だと思った。

また会える気がする?ナンパ的な言葉はスルーして、ピカソの世界に瞬時に入り込んだ…


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