* KING+1 *

mettre

私がアテンドをするという今日の視察で回る場所は 副社長が始めから決めていると聞いた。


「大秦さんは パリには何度か来られてますよね?私より全然詳しそうです。」


「ハハ、バレてる?俺、今は副社長とか柄にもない役職に付いているけど、少し前までモデルが仕事だったんだ。パリは撮影やショーで何回も来ていたんだよ。」


流石 一般人とは違うと思ったけれど、パリでショーとか この人スゴい人なんだ。


「杏果は そのスタイルと顔なのに モデルは仕事に選らばなかったのは何故?」


「はい。私は最近まで、ずっとこの姿を封印していたので、モデルはとんでもなくハードルの高い職業であり一ミリも考えた事はありませんでした。」


「杏果は知れば知る程面白いね。それで…気になる杏果の彼氏はどっちなの?」


どっち?もしかして…


「あの大秦さん、私は彼氏も恋人もいませんよ。」


「は?そんなはずはないよね?俺が杏果を指名して視察に連れて行くって話の時、二人にスゴい睨まれたんだけど?気のせいとは言わせないよ。」


「圭さんは 私の姉的なポジションで、百瀬さんは 私の先輩であり 二人は悪魔な上司と鬼上司です。容赦なしに私をこき使い下僕扱いなんですから。」


「鬼と悪魔なんだ。へぇ 仕事ではそういう設定なんだ…。」


大秦さんとは すごくスムーズに違和感なく話易い。だから、こんなにも自分の事を話せるなんて稀だし珍しい。


二人は エッフェル塔を目指し メトロに乗る為に地下に降りて行った。


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