* KING+1 *
「おはよう杏果。あれ?圭と凱人はどこかな?」


「おはようございます。二人は さっきからそこの部屋に籠って出て来ませんよ。私は何故か除け者ですし…。」


「ハハ…杏果は拗ねてる顔も可愛いね。」


朝からこの人は…と思ったけれど、立場はどうしても上の副社長、何も言えない。


コンコン…。

部屋に強引に入るのは やっぱこの人、副社長は迷いがない。


「ねぇ、遅いよ決断は敏速に。結果は同じじゃないか?」



2階のフロアに聞こえる内容は 意味が全くわからない。


「大秦が決めた事でも、こっちにも予定があるんだよ。圭、さっきの内容以外、俺はいやだからな。」



「もう、あんたたち私を苛めて楽しいの?私は苛める側が好きなのよ、嫌だわ――――。でもそうよね、わかったわ。」



「杏、今から日本に行く準備をして。明日にはプライベートジェットでフランスから出発するのよ。」



「えっえ~?圭さん、私もう日本に戻されるんですか?」



「杏果、俺と一緒に日本に帰れるんだよ。嬉しいだろ?」


あのあの?副社長、顔が緩んでますが、私にはさっぱりわからない事ばかりで、納得出来ないんですが…。


「杏、そいつと一緒に帰るが勘違いするなよ。あくまでも、お前は1ヶ月だけ日本で研修だ。早く成果を上げて帰って来いよ。」


研修って一体何の?聞けば聞くほど迷宮入りしそうなミッションが待っている日本へ 私行く意味があるのだろうか?疑問ばかりが浮かぶ事態に 笑うしかないとか…。


「早く アパートに行き準備をして下さいね。」


と、やたらニコニコした副社長の顔が怖くて、その後何も考える事なんて出来なくて 帰ってからもぼぉ~としていた私は 先輩に声をかけられ リアルな世界に戻る事がやっと出来たのであった…



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