* KING+1 *
「おい起きろ。さっさと起きないと プライベートジェットに乗り遅れるぞ。」


「う…ん、あれ?先輩、今何時ですか?」


「6時半は過ぎてるぞ。」


「うそ~。何でもっと早く起こしてくれないんですか?キャ~。」


「お前裸だぞ。ハハ…。」


嫌!信じられない…また服を脱がされていた?!それよりも、先に準備しなきゃ。


「もぅ先輩のバカ!セクハラの鬼~?!」


「早く用意しろよ、後20分で迎えが来るって連絡があった。」


また 男子並みに準備をしてしまう自分が悲しい…。


当分会えないんだよ?寂しくないの?ねぇ?ってあれ?さっきのは やっぱり夢だったのかな?私の願望がもたらす、都合の良すぎる夢?


先輩はいつもの先輩であって、変わりなく鬼だ。



「杏、ぼぉっとしている暇はないはずだが…」



「もぅもぅ訳わからなくなっちゃったけど、先輩、暫く私に会えないですが、泣かずに仕事に精進して下さいね。たまにはSkypeで顔見せて差し上げましょうか?それと、今度フランスに帰って来る時は、ここには戻りませんから。わかりましたか?」


「お前は…少しは寂しがれよ。全く…。それと帰ってくるアパートは、勿論ここだ。圭に解約頼んどくから心配するな…。くれぐれも、あいつ、大秦には気を付けろ。忘れるな。杏は俺だけの下僕だからな。」


///何キュンってなってるの?
おかしいでしょ?俺だけの下僕とか 
おかしい日本語に反応しちゃう私って?


ピンポーン…玄関からチャイムが聞こえる…


「では先輩 行ってきます。」


先輩の頬に素早くキスをした私を 目を見開いて驚く先輩を残し 私はアパートを後にした…


背中の羽は当分使えない…
次に先輩に会えるまで封印してーーー








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