* KING+1 *
「見つけた…勝手に居なくなるなよ。杏、ほら行くぞ…」

先輩が見つけてくれたお陰で ルーブルで迷子になるという 不名誉な事にはギリギリならなかった…

おまけに今はしっかり手を握られて 完全なる捕獲。これで先輩とはぐれてしまうという事も難しい…


「お前は───。ちょっと目を離した隙に 居なくなるとか、どんだけだよ。はぁ…」


私 先輩を困らせる天才かも?と 変な自信だけあるのは黙って しおらしく謝る事にした。


「先輩ごめんなさい。絵画が私を見て見てと スッゴいアピールしてきて、夢中で見てしまったんです。

でもルーブル恐るべし…私久しぶりに心を揺さぶられました。鳥肌が凄い事になってましたもん。」


「ああ、普通はそうなるだろ。圧倒されるよな…とんでもなく感性が研ぎ澄まされ、古いけど新しい 不思議空間だよな…。」


まさに私が言いたい事を 流石先輩…。


「もしかして私の為に ここをチョイスしてくれたんですか?」


「いや、俺が来たかった。次はマニアックな所だ。俺は好きだけどな…。」


絶対私へのおもてなしデートだ。絶対これは。先輩は簡単に私の琴線を揺らすから──ほんと困る…



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