* KING+1 *
「……馬鹿なの?」


「えっ?久しぶりに会った人に対して馬鹿はないだろ?」


泣きそうになりながら、今から取材だと気持ちを無理やり切り替える。


「ハハ、何泣きそうになってんだよ。ほら、呼ばれてるから行くぞ。」


然り気無く腰に手を当て エスコートする出来る男。


だから?さっきまでの不安な気持ちはスッと消え、私は心が軽くなった。


やっぱり先輩の側が一番で、他のどんな人も代わりなんて出来ないんだと、改めて思った。


私を簡単に救う、とんでもなく意地悪で格好いい人。絶対本人には言わないけど。


「後でギュッてして下さいね。先輩不足で私…もぅカラカラなんです///」


先輩の耳元で、小さく呟いた私の本心。


こんな事位で 何とも思わないと思うけど 先輩がやっぱり好き過ぎて、困る──

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