サヨナラは海の中
「い、生きていればさ、きっといいこともあると思う!いや絶対!だからさ、そんな身投げなんて自分から命を捨てるようなマネはやめようよ!!」
先程“月並み”なんて言ったが、月にも及ばない気がする。
浜辺から彼女までは少し距離がある為、俺はさっきから叫ぶような声で彼女に話しかけている。
……だんだん、いたたまれなくなってきた。
顔に熱が集中して熱い。
今なら【顔から火が出る】という状況をよく理解できる。
「………ぁ、…………は?」
「え?何?」
少女が呟くような声で何かを言った。
先述した通り、俺と彼女とのあいだには少し距離があるため、声は上手く聞き取れなかった。
聞き返したあと、俺も少し海に入り彼女と距離を縮めた。