サヨナラは海の中


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​───────夢を見た。



夢の中の俺は、まだ小学校低学年の子供だった。



俺は真っ暗な海の底に沈んでいく。



なぜか、手足は動かず、もがくこともできない。



助けてくれる人も、頼れるものもない、海の底。



海底の世界、俺は独りだ。



飲み込まれてしまいそうな、深い孤独感に襲われる。



無駄にうるさい陽人もいない。



大好きな両親もいない。



「​─────誰かっ!!」



声を出すことによって、伸ばすことができる俺の腕は、『何か』を求めて空を切る。



息ができない。



苦しい。






誰か………!!!!!!



俺の体力が限界に達する間際。



そんな時必ず、



「​───────うみっ!!!」



海底に沈んでいく俺に、誰かが名前を呼んで手を伸ばしてくれるんだ。



「✕✕✕………!!!!」



俺は嬉しそうに誰かの名前を呟いて、そして、その手を強く握って……、



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