サヨナラは海の中


ちなみに俺は、初めて会った日から毎日、美波のいる海へ向かった。


不思議なことに、いつ行っても必ず美波は海にいた。


「他に行くところないの?」と聞いてしまったくらいだ。


そう言うと美波は、「海が好きなんだ」と何故か悲しそうに笑うから、もう聞かないでおこうとその時誓った。


美波と話すのは本当に飽きなくて、まるで昔から友達だったかのように、気兼ねなく会話を楽しめた。


「いや……。あお、どっか行くのか?」


陽人も誤魔化すのか、と思わず顔をしかめながらも、俺は「海だよ」と答えた。


さすがに4日連続ともなれば予想もついていたようで、さほど驚いた様子もなく、けれど何故か複雑そうに「そっか」と言った。


陽人の反応は、表情を除けば至って普通だった。


けれど、母さんの反応は違った。


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