サヨナラは海の中
陽人は放っておくと毎日来るからな。
毎年お決まりだ。
…そりゃあ、居留守も使いたくなるだろ。
「多分ってんだよ多分って!……まぁいいや。んじゃ、また今度な!」
陽人のこういうおおらかなところは結構気に入ってる。
さっぱりしていて楽なんだよな。
「ん。またな〜」
手のひらを振りながら陽人たちを見送る。
「おうっ!よーっし!行こうぜみんな!」
そう言うと、陽人とクラスメイトはぞろぞろと教室を出ていった。
いつの間にやら俺たち以外のクラスメイトは帰っていたらしく。
教室には俺一人になった。
……なんだろう、この嵐が過ぎ去ったような脱力感は。
そんなことを思いながら、俺はため息を1つつき、今度こそ席を立ったのだった。