サヨナラは海の中
「俺、そんなん聞いたことない。」
人が死んだなんてなれば、今まで少なくとも1度は聞いたことがあるはずだ。
なのに、俺はこの事を今初めて耳にした。
「あの事件の事は遺族の希望で一部の人間しか知らない。まぁ、関係ないやつはそもそも知らないし、俺もおばさんもあおには黙ってたし、聞いたことないのは当たり前なんだけどさ。」
「ん?……でも、お前の言い方からすると…」
胸がザワつく。
「相変わらずあおは鋭いな。そう。お前はあの事件に関係あるんだよ。それも、俺らよりも強く。」
「俺が、人の死に関わってる…?」
何も知らないはずなのに、頭が、痛い。