サヨナラは海の中
知りたい、知りたくない。
そんな、矛盾した感情が胸を占める。
けど、俺は、この事件の真実を知らなきゃいけない。
きちんと、聞かなければいけない。
美波の表情が変わった。
俺たちの間を強い潮風が吹き抜ける。
辺りは怖いほどの静寂に包まれた。
「美波は、もう、死んでいるの?」
俺は、彼女の手のひらをそっと開き、その手に乗っている天色の貝殻を露わにし、確かに美波にそう聞いた。
「えっ……」