サヨナラは海の中
「俺の……無事?」
「そう。あの時、確かに私は蒼海を助けた。でも、助けてすぐ私は死んじゃったから、蒼海がどんな人生を歩んだのか知らなかった。どんな幸せがあって、どんな悩みがあって、どんな喜びがあって。蒼海がどうな風に成長していくのかを少しだけでも知ってみたかった。」
「美波……」
「もし、自分のせいで私が死んだとか罪の意識に捕らわれていたら、それは違うよって言ってあげたかった。まぁ、もっともら覚えてなかったからそれは心配損で終わったんだけど!」
最後は冗談っぽく言って、クスリといたずらに微笑む美波。
「それは本当にごめんなさい…」
美波につられて、俺も思わず苦笑が漏れる。
「……でもこれで!私はようやく成仏できるわけだ!」
ニコッと笑う美波。
その身体は透けていた。