サヨナラは海の中
美波がいなくなってから。
特に何かが変わるわけでもなく、日々は過ぎ去った。
陽人は、あの日泣き腫らした目で帰ってきた俺を見ても何も聞かずに、ただ優しく方をポンと叩いただけだった。
俺はあの日から海に行くのをやめた。
美波を思い出して辛いというのももちろんあるけど、もう振り返るのはやめたんだ。
もちろん、美波を忘れるという意味ではなくて、前に進もうと思ったからだ。
めそめそして落ち込んでいる時間がもったいない。
俺は待ってる美波に楽しい話をたくさん用意してあげないといけないんだから。
俺のバッグには、穴を開けて糸を通したあの天色の貝殻が光ってる。
陽人いわく、俺はあの日からいい意味で変わったらしい。
…………よく分からないけど。笑
俺は俺らしく、日々を楽しんで行こうかと思う。
「陽人、みんな!今日の放課後カラオケ行かない?」
───────END