君と見た色
僕はあれから、先生に言われた通り松山さんの家の前に来ていた。

彼女の家はごく普通の一軒家で、学校から歩いて十分のところにある。僕の家からも余り遠く無い。

松山さんの家の前に来たのはいいけど、僕は中々インターフォンを押さずにいた。

そもそも僕は女の子の家に行った事がない。それどころか話したことすらないんじゃないかって言うくらい女の子と関わる事がない。それは勿論松山さんも例外ではなかった。

梅雨明けのジメジメとした暑さが僕の心もジメジメさせているような気分だ。

僕は心を決めた。インターフォンに手を伸ばす。

ピンポーン、と言う音が鳴り、しばらくして通話口から声が聞こえて来た。

「どちら様ですか?」

松山さんだ。まるで、なんで来たの?と言わんばかりの低いトーンだ。
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