君と見た色
「はぁー。またなのね」

「また?」

松山さんはめんどくさそうにして、質問に答えた。

「この前もクラスの女子何人かが家に来たの。まぁその時は先生の命令とかじゃなかったけど」

「それで、松山さんはなんで答えたの?」

「適当に少し風邪が長引いてるって言った。本当の理由はまだ誰にも話したく無いの……。今言えば、皆んなに馬鹿にされるかもしれない。みんなが私から離れていきそうで、それが怖いの」

その時、心なしか松山さんは悲しげな表情だった。今にも泣き出してしまいそうなそんな表情だった。

「ねぇ。もしよかったら、僕に話を聞かせてくれない?どんな話でもしっかりと受け止めるし、誰にも言わない。勿論、松山さんから離れたりもしない。少しでも松山さんの力になりたい」

なんでこんな事言ったのだろか。でもなぜか、松山さんのあの悲しげな表情はもう見たくなかった。あの悲しげな表情は普段の明るかった松山さんのものでは無いと思った。

だから僕は思ったんだ。力になりたいって。

松山さんは少し驚いたような感じだった。しばらく僕の顔を見つめそれから、

「本当にいいの?」

「勿論」

その答えを聞くや否や松山さんは僕にだけ、松山さんの誰も知らない秘密を話し出した。
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