いつまでも君と
自意識過剰かもしれないでも…
彼は私を見ているようだった。

「ごめん!ちょっと抜けるね!」

私はカーテンをつけてくれている友達に一声かけてから廊下の方に足を進めた。

彼は私が向かっているのにもかかわらず動揺するでもなく踵を返すでもなくまっすぐにじっと、更に私をまじまじと見つめてきた。

「あの…」
私は眉をひそめて彼に声をかけた。


「君だよね」
低く、澄んだ声。
同級生の男子とは違い、落ち着いた表情と声に私はハッと驚かされた。

しかしながら、訳の分からないセリフに私の方が動揺した。


「は…?」
「…ああ、いや。なんでも。」

ゆっくり首を横に振った彼は少し微笑んだようだった。


「ここが、和カフェの入り口かな?」
彼は扉を指差して私に問いかけた。

「ええ、はい」
「そうか…うん、すごいね」
「え…?」

彼はうんうんと頷き、こう答えた。

「紅葉柄のカーテン、あまりはある?」
「ありますけど…他のクラスで使いますか?」
「いや、扉の方にも絞ってつけたら素敵だと思って。どうかな?」
「あー、そうね!いいかも!」


本当に自然にタメ口で話されるものだからこっちもなんとなくタメ口になった。

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