いつまでも君と
「私…どうして倒れたりなんか…」
つぶやく私の声に母親は俯くばかりで、何も答えてはくれなかった。


「るい」

その時、低く重たい声がした。
父親が仕事着のまま息を切らして来た。

「もう、話しても良い頃なんじゃないか」
「でも、あなた…それはるっちゃんが20歳になってからって…」

モゴモゴと口ごもる母親に私は不安が募る。


「ねぇ、かあさ…」
「そんな悠長なこと言っている場合ではないだろう!!!」

普段、冷静に構えている父親が声を荒げる姿を見たのはこれが初めてだった。
相当、大変なことが起きているということが私にひしひしと伝わってきた。


「そうね…そうよね…」

母親は目に涙を溜めながら自分に言い聞かせるように何度も頷いていた。

「るっちゃん…大事な話があるの。」

怖い…でも、聞きたい。聞いておきたい。
私は感じた。


言葉で言われなくとも、父と母の表情を見ればすぐに分かることだ。


私は、きっと、もう長くない。
< 4 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop