いつまでも君と
症状は忘れたいと思った頃に必ずやってきた。

忘れるな、君はもうすぐ死ぬ。
心臓が私にそう語りかけてきているようだった。


楽しみにしていた文化祭の準備だけは、頑張りたいと作り笑顔を上手に利用して楽しんでいるふりをしていた。

大きな幸せを望まず、毎日を淡々と生活していく。
そうやって過ごしていれば、なんとか涙を流さずに済んでいた。


文化祭の準備もいよいよ大詰め。
私達のクラスの和カフェもついに形になってきた。

「るっちゃーん、そこのカーテン布とってー!」
「はーい!」
慣れてきた作り笑顔で紅葉柄のカーテン布を友達に渡した。

ふと、廊下の方から視線を感じてそちらに目を向けた。
そこには、見かけたことのない男子の顔があった。

他のクラスの人…でもなさそう。
それは、どことなく制服が馴染んでいない感じがしたからだ。
< 9 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop