【短】おにぎり

アヤメの弁当は、いつも冷凍食品は入っていない。母親が作った愛情こもった弁当だ。

 前、アヤメの弁当おいしそうと私が言うと、そう? と照れくさそうに言っていた。

 本当に美味しいのだろう。

「…ほんとだね」

 アヤメに微笑み返して、私は昨日コンビニで買ったパン二つをカバンから出して口に頬張った。

私のご飯は味気ない。

「そうだ。友達に聞いたんだけど。WEBでアルバイト募集があってね。その中でおにぎりを作るだけのバイトがあるんだって」

 卵焼きを箸に持ち、アヤメは私に言った。
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