【短】おにぎり
「え? おにぎり」
「うん。おにぎりだけ作れば、次行く日にはお金がテ―ブルに置かれてんだって」
「それはどこでやってるの?」
私はもしゃもしゃとパンの水分がなくなるまで噛み砕いて言った。
卵焼きをパクっとアヤメは口に入れてから、ご飯を口にした。
「…榴ヶ岡のアパ―トでやってるらしいよ」
もぐもぐと口に頬張り、アヤメは次のおかずを箸に持ちゆっくりと食事をしていた。
「…へぇ―。それほんとなのかな」
「う―ん。でもおにぎりバイトって聞いて、その人はなんでわざわざバイトする人を見つけているのかなって不思議に思ったよ」
確かに。なんでおにぎりバイトの主はアルバイトという言葉を使って、人を雇う必要があるのだろうか。
「その人はなんでそんなことしているのかな」
ゴクッとコ―ラを口に入れてからアヤメに私は聞いた。