【短】おにぎり
だが、両親ともに共働きで家族揃って食べることなんて一度も叶えられていない。
あの人達は本当の私なんて知らない。
私の家族は良い子、気遣い上手と思われているだろう。だが正反対だ。
良い子でなければ、気遣いでもない。
はっきりものを言えない性格だから。
心の中で毒を吐いている。
祖母の思い出に浸りながら道の角を曲がって、家から近いバス停で時間になるのを待っていた。
七時五十分のバスで学校に行く時はよく使う。その時間は、大抵同じ人が乗ってくる。
五十代くらいのおばさんと若めのサラリ―マン。