【短】おにぎり

この性格を隠すのも、人間関係も。

「おはよう」

 右耳から女の子らしくも大人びった声がすると思ったら、アヤメだった。

「アヤメ。おはよう」

 ニコっと口角を上げて私はアヤメに答えた。

 アヤメはいつも元気そうに毎日笑っていた。

 私は外では明るく振る舞っているが素直に笑っていない。

「どうしたの?」

 笑っているアヤメは両頬にえくぼができていた。小動物のようなクルクルな目で私なんかに笑みを浮かべてくれた。

 不思議そうにアヤメは私を見て聞いてきた。

「ううん、なんでもないよ」
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