アカツキ-孤独な勝負師-
野球という名の修羅場
鳥取南陵5対0砂丘東

電光掲示板に映る数字を見て号泣する先輩達

しかし、俺は涙が流れなかった。

それは俺が1年だからなのか?

野球という名の勝負に本気になっていなかったからなのか?

自分ではそれが分からなかった。

とにかく言えることは俺達は得られなかった。

決勝戦という甲子園のキップが懸かった試合に・・・勝負に勝って得られなかった・・・ということだ。

バスに乗ってグラウンドで三年生の引退式を行い、そして監督から三年生に送られる言葉。

それにいちいち感動する三年生達。

なんだ・・・この光景・・・。

俺は三年生じゃないから感動しないだけなのか?それとも情が薄いから感動しないのか?

とにかく・・・こういう光景はうんざりする。

さっきまで必死こいて戦っていたのに、負けて帰ってすぐにこの光景・・・なんか凄く嫌だ。

そして、監督の言葉もよくある言葉だ・・・。「その人」だけの言葉を感じない。

思えば監督の行動や采配は常に正攻法な感じがする。

何も考えていない無策、今日の試合も初回制球が荒れていた投手相手にいきなり送りバント。

そこはじっくり球数投げさせて相手を苦しませなきゃならないのにアウトカウント1個あげて簡単に楽にさせていた。

結局次の回からは見違えるように立ち直り、打線が完全に封じられた。

初回がターニングポイントだった・・・。あそこで先制したら違った試合展開になったかもしれない。

・・・でも、監督批判しても負けた事には変わらねぇんだよな・・・。
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