淡麗なうわずみ
友達なくらいだから、近づくのも嫌、なんて訳はないか。

でも、手に力が込められて、密着してしまう。

急に、居心地が悪くなる。

嫌な訳じゃなくて、慣れない距離感に、動揺してる。

「...抵抗されてる」

「...してないと思う」

「オレ、古賀さんにどう思われてるのかな...」

「友達」

「じゃあ、もうちょっと嫌がってもらえる?」

あたしは、黙って九条くんを見上げた。

後ろにさっきの月が見えるなー

思ってたら、九条くんの両手に捕まっていて、額にキスされてしまった。

九条くんの、いつにない優しい目が、あたしが嫌がってないことを確認すると、

今度は唇に。

優しい性格のにじみ出た感触。

「...だから、嫌だったら嫌がっていいんだけど」

そうか、そうなのか。

でも、嫌だったかな?
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