メールチェッカー 【1】
「ああ。女の子には多いかもしれないよ。
しかも罪悪感は、あるけどないの。
見られて困るようなことはするなって開き直っている子の方が多いわ、残念だけど」
萌香は嫌な顔ひとつせず、関口の愚痴に答えた。
歳は自分より一つ上だと聞いたが、やはり大人だ。
安藤とカップルになった子は鼻に掛かったような声で甘えたりふざけたりするタイプだが、まるで正反対だ。
その子と萌香が友達なのも不思議だった。
「そうじゃないんだよな、なんか信用されてないのがムカつくんだよ。
こっちから言わせてもらえば、疑ってないなら勝手に見るなよって感じじゃん。
ともかく、人の持ち物を許可なく触ってる時点でもう、勘弁って感じ。
もしもこのままうまく行って結婚とかいう流れにでもなったら、生きた心地がしないよ。
ああ、恐ろしい」
テレビの街頭インタビューで、お小遣いが値下げされたという頭の薄いサラリーマンの悲しい笑顔が頭に浮かんだ関口は、ブルブルと身震いしてみせた。