メールチェッカー 【1】

冷酷な一文への抗議は、やはり短く一文で返す。


『どういう意味？』


絵文字を一切使わない事で、真剣に怒っているのだとアピールした。




デスクに戻る。

書類を片手に、パワーポイントで資料作りを再開してすぐ、引き出しの中で起こる振動に気付いた。


周囲の目を盗み、メールを開く。

稔矢からの返信は、冒頭に謝っている絵文字がずらりと並んでいた。


『ワリィ。他人宛と間違えた！

待ち合わせの件、了解』


文末には親指を立てた絵文字付きだ。


……間違えておいて随分と調子がいいんだから。

留実は怒りのおさまらないまま、そっと引き出しを閉じた。