メールチェッカー 【1】

――稔矢は一体、誰宛に『おめでとう』のメールを送りたかったんだろう。





寝入る稔矢にもう一度目線を投げてみる。

こうなって、途中で起きたことは今まで一度だってないし、今日も確実に起きないだろう。


リモコンをガラステーブルの上に置くと、留実は稔矢の帆布のトートバッグを探り始めた。




内ポケットに無造作に入れられた携帯は、いとも簡単に見つかった。


不思議なほど、罪の意識は感じなかった。

そもそも、間違えてメールを送る稔矢の方が悪いんだから。

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