メールチェッカー 【1】
受信トレイを開いた瞬間、問題は解決した。
留実の送った抗議メールは、上から3通目にあった。
そして、留実の名前を挟むように、ほぼ同時刻にメールが数通。
しかも全部が同じ相手で、明らかに女性名だ。
『こないだ受けた検定、合格したよ!』
稔矢が留実に間違えて送ってきた元のメールは、ハートやら音符やらの絵文字が飛び交っていた。
身体が震えた。
だが、まだ決まったわけではない。
落ち着くようにと言い聞かせながら受信トレイに戻り、過去のメールを遡ってチェックしてゆく。
調べている間、思わず大きなため息をついた。
自分の送信分と同じくらい、その女性からのメールがあるのだ。
しかもどのメールも溢れる絵文字で埋め尽くされ、読む気が失せるほどだった。
ざっと目を通しただけだったが、その女性が稔矢に恋愛感情としての好意を抱いているのはよくわかった。
留実の脳内には、はっきりと疑いの二文字が浮かんでいた。
浮気、か――。
稔矢に限って、そんなことはしない人だと固く信じていたのに……。