メールチェッカー 【1】

少し頼りないところはあるけれど、浮気などするような人ではない、そこだけは絶対に自信があった。


留実の頬に、涙が一筋流れ落ちた。




ベッドに入ってもまぶたが重たくなることはなかった。

信じていた自分を裏切った、稔矢の行為がどうしても許せない。




数ヶ月前雑談している時に、流れで将来の話が出たことがあった。

その時稔矢が、留実と結婚できたら楽しいだろうなあ、と笑って話していたのを思い出す。


留実はその先の自分の幸せな姿を思い浮かべてはにかんでいた。


本当に、嬉しかったんだから。


――自分とその女性、稔矢が本当に大事にしたいのはどっちなんだろう。


頭の中をいろいろな思いが巡る。

自分たちの過ごしてきた時間は、そんなに簡単に終わりを迎えるのだろうか……。

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