メールチェッカー 【1】
「おはよう。あーよく寝た。
ビールが入るとこれだからなあ。ちょっとシャワー浴びてくるわ」
何も知らない稔矢は、いつものように大きな身体を伸ばして、寝癖のついた頭を掻きながら起きあがった。
留実は、コーヒーメーカーのスイッチを入れながら大きなため息をついた。
シャワーの音が止む。
腰にタオルを巻いた稔矢は、清々しい表情をしている。
「コーヒーちょうだい」
シンプルなマグカップは稔矢用にと、ここに泊まるようになってすぐに買い求めたものだ。
慣れた手つきで琥珀色の液体をなみなみと注ぐと、静かにテーブルの上に置いた。
「サンキュー」
沈黙の中、漂うアロマの香り。
目を閉じてわずかに吸い込んだ留実は、意を決して口を開いた。