メールチェッカー 【1】
「ねえ稔矢。
昨日の夕方のメールなんだけどさ……一体誰と間違えて送ってきたの?」
留実は稔矢の表情を見た。
一瞬顔がこわばるに違いないと思ったからだ。
ところがひるむどころか、マグカップを口に運んだ稔矢は平然としている。
「――母親だけど。……なんで?」
よくもそんな簡単にシラを切れるものだ。
もしかしたらこの質問は、稔矢の中でシミュレート済みなのかもしれないと思った。
そこで申し訳なさそうな顔をしたらまだ許せたというのに。
ますます頭に血が上る。
「ウソツキ!よくもとぼけたわね。
平原里美って誰なのよ!!」
受信トレイにあった、自分ではない方の名前を突きつける。
今度はさすがに稔矢も驚きの顔を隠せなかった。
「えっ?何でその名前……」