メールチェッカー 【1】
留実は全身に鳥肌が立ち、悪寒で身体が震えた。
今回、稔矢の間違いメールから始まったこの問題だったが、もしも何も知らないままでうまく事が運んでいたとしたら……。
送る相手を間違えてくれたからこそ、母親のことに気づけたのだ。
優しいのが稔矢のいいところだ。
けれど、優しすぎるところは欠点だと思った。
結婚というゴールが見えかかった矢先の出来事。
描いていた幸せな光景が、一気に音を立てて崩れた。
「あ、メールだ。また母ちゃんかもな。
……ホラやっぱりそうだ。夕べオレの夢を見た、だってさ」
困った素振りをしつつ笑っている。
そんな稔矢から目をそらした留実は、別れの言葉を探し始めていた。
□ 深い愛 □ / End