かわいくないキミ
会社から少し離れたところにあるこの居酒屋。
社員と居合わせると愚痴も言えないと彼女が言い出したのがきっかけで、この店が彼女と飲むときの行きつけになった。
店員さんとはもう顔馴染みで、彼女のビールのおかわりを持ってきた店員さんが女にだらしないことだって知っている。

「真一くん、彼女と順調?」
「あっと、えっと、イロイロ事情がありまして……」
「また?これだから顔がイイ男は信用できないんだけど。で、またしたの?」
「えっと、食事しただけっていうか、何というか………まあ、一般的には浮気っすかね」
「ホント気をつけなよ。いつかマジで刺されるから」

気をつけまーす、彼女の忠告をさらっと受け流し、仕事に戻る真一くんの顔を見ていると彼はまだ懲りていなさそうだ。

「杉野も気をつけなよ。杉野も真一くんと同じタイプっぽいし」
「心外だな。俺は恋愛に真剣な男だから」
「そのセリフが軽薄だわ」

吐き捨てるようにそう呟き、彼女は頼んであったサラダに箸を伸ばす。
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