かわいくないキミ
「瑠可」


はじめて彼女を名前で呼んでみる。


「俺と付き合ってみる?」
「は?何言ってんの?ふざけんのもいい加減に―――」
「ふざける気なんて一切ないけど。俺なら二股なんてしないし、お前を幸せにする自信だってある」
「その自信はどこから来るの?」
「俺、ずっと好きだったから。お前のこと」
「……そ、そんなの知らないし」
「言ったことないからな」
「そ、それに私、失恋したばっかりだし」
「じゃあ幸せにする前にまず慰めてやるよ」
「……す、杉野は軽そうで私のタイプじゃない」
「だから俺は恋愛に真剣な男だって」

俺の恋愛の仕方を知らないのに決め付けるなよ、そう言うとやっと彼女と目が合った。

「もう一回言うけど、俺恋愛には真剣な男だよ」
「……まだ信じられない。私今いろいろあって疑り深いから」
「じゃあ、試してみる?」
「恋愛に真剣じゃないってわかった瞬間すぐに終わりだから」
「じゃあ、一生終わらないな」

そう言って彼女の手の上に自分の手を重ねると彼女の口元が今日一番緩んだ気がした。
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