アンニュイな彼
まだ校内に残っている、部活や委員会の生徒たちから、すれ違うたびによそ者を見る好奇の目を向けられながら、私は秘密の場所に向かった。
「やっぱり……」
私は小声で呟いた。
今日もポカポカ、いい陽気。
先生は特等席で、静かに寝息を立てている。
「先生、今日もサボりですか?」
私は足音を立てないように静かに近づき、ゆっくりと中腰になった。
校舎の角に背をもたれ、腕を組む体勢で眠っている先生を覗き込む。
やっぱり、カッコいい……。
すっと通った鼻筋、薄くて形のいい唇。今は、動くことはない。
「先生、部活行かなくていいんですか?」
と囁いて、屈んで顔に落ちてくる髪を耳にかけようとした瞬間。
私は思わず息を飲んだ。
「__っ!」
長い睫毛が微動して、先生が薄目を開けた。
日差しに透ける茶色の瞳がちらりと動き、不意に口角は釣り上がる。
「……寝込み、襲う気?」
先生の目は揺らぐことなく一心に、私を捉えた。
射抜く、といった方が合ってるかもしれない。
「っ、」
私は驚いて、声を失った。
だってこんなに正確に、開けたばかりの目で私を捉えることができるなんて、それってつまり。
「せ、先生……! お、起きてたんですか⁉︎」
三年間、話しかけても一向に起きなかったのに……!
「やっぱり……」
私は小声で呟いた。
今日もポカポカ、いい陽気。
先生は特等席で、静かに寝息を立てている。
「先生、今日もサボりですか?」
私は足音を立てないように静かに近づき、ゆっくりと中腰になった。
校舎の角に背をもたれ、腕を組む体勢で眠っている先生を覗き込む。
やっぱり、カッコいい……。
すっと通った鼻筋、薄くて形のいい唇。今は、動くことはない。
「先生、部活行かなくていいんですか?」
と囁いて、屈んで顔に落ちてくる髪を耳にかけようとした瞬間。
私は思わず息を飲んだ。
「__っ!」
長い睫毛が微動して、先生が薄目を開けた。
日差しに透ける茶色の瞳がちらりと動き、不意に口角は釣り上がる。
「……寝込み、襲う気?」
先生の目は揺らぐことなく一心に、私を捉えた。
射抜く、といった方が合ってるかもしれない。
「っ、」
私は驚いて、声を失った。
だってこんなに正確に、開けたばかりの目で私を捉えることができるなんて、それってつまり。
「せ、先生……! お、起きてたんですか⁉︎」
三年間、話しかけても一向に起きなかったのに……!