アンニュイな彼
「あれって、高等部の__⁉︎」
「えっ、もしかして笹原晃太先生⁉︎」
女子大生たちの色めき立つ声が周囲から湧き上がる。
騒ぎが大きくなってしまって、私たちを囲むように人が集まって来たから、気まずくて顔が上げられなかった。
「うそっ、実物初めて見た!」
「超カッコいいー!」
直視できないけど、周辺視野には口元を手で覆って目を輝かせ、まるでアイドルでも見るようなキラキラとした瞳を先生に送る女子大生たちが映る。
それに加え、強引なたこ焼き売りの男性が、顔を真っ赤にして怒りながらこの場を去る様子もちらりと見えた。
「なにあの子、彼女?」
「えっ、先生ってうちの学生と付き合ってるの⁉︎」
私、ここの学生だと勘違いされている……?
ヤバい、と危機感を抱いた瞬間、先生は私の手首を引いた。
そのまま先生は、私の手を引いて早足で歩く。
されるがままの私は、足をもつれさせながら走ってるというよりも、引きずられるような格好でついて行った。
手首が痛いけど。
息が切れて苦しいけど。
さっきのたこ焼き屋の男性にされたときみたいな、嫌悪感がまったく湧かない。
先生__。
「ご、ごめんなさい……」
呟いたら、涙が溢れてきた。
全部全部、ごめんなさい。
先生のこと、諦められなくて。
追いかけて来てくれて嬉しいって思っちゃって。
彼女がいるのに。
これ以上好きになっちゃダメなのに。
まだこんなに大好きで、ごめんなさい__。
「……なんで、」
きっと先生には聞こえていないだろうと高を括ってたのに。
「なんで藤野が謝るの?」
「えっ、もしかして笹原晃太先生⁉︎」
女子大生たちの色めき立つ声が周囲から湧き上がる。
騒ぎが大きくなってしまって、私たちを囲むように人が集まって来たから、気まずくて顔が上げられなかった。
「うそっ、実物初めて見た!」
「超カッコいいー!」
直視できないけど、周辺視野には口元を手で覆って目を輝かせ、まるでアイドルでも見るようなキラキラとした瞳を先生に送る女子大生たちが映る。
それに加え、強引なたこ焼き売りの男性が、顔を真っ赤にして怒りながらこの場を去る様子もちらりと見えた。
「なにあの子、彼女?」
「えっ、先生ってうちの学生と付き合ってるの⁉︎」
私、ここの学生だと勘違いされている……?
ヤバい、と危機感を抱いた瞬間、先生は私の手首を引いた。
そのまま先生は、私の手を引いて早足で歩く。
されるがままの私は、足をもつれさせながら走ってるというよりも、引きずられるような格好でついて行った。
手首が痛いけど。
息が切れて苦しいけど。
さっきのたこ焼き屋の男性にされたときみたいな、嫌悪感がまったく湧かない。
先生__。
「ご、ごめんなさい……」
呟いたら、涙が溢れてきた。
全部全部、ごめんなさい。
先生のこと、諦められなくて。
追いかけて来てくれて嬉しいって思っちゃって。
彼女がいるのに。
これ以上好きになっちゃダメなのに。
まだこんなに大好きで、ごめんなさい__。
「……なんで、」
きっと先生には聞こえていないだろうと高を括ってたのに。
「なんで藤野が謝るの?」