夜の空にさす光
お誘い
「よし」
出来上がった書類を一纏めにし、腕時計を確認する。
未だ作動する長針を無視しながら、時間呑みを確かめると
急いで書類を抱え、上司のデスクへと向かった
「できました」
纏めた書類を上司に手渡すと束の間、沈黙が流れる
相手が項目などをチェックしている間、私は俯いたまま
期待の結果を待ち望んでいた
「此処を見落としているよ」
抜けている部分を指摘してくる上司に
無意識に下唇を噛むと
悔しそうに視線を返す
「ごめんなさい」
最近残業ばかり与えられている所為か
この頃は、何時もより身体が重たく感じる
「無理…してないか?」
まるで其れを当然かのように見破る彼
心配そうな顔付きをすると
私の腰に両手を回し、緩く力を入れると
優しく抱きしめてくれた。
伝わる温かい体温に
暫く戸惑っていると
自信のない私は、その言葉に
只々、頷くだけだった
*
それにして
いきなりこんな事をされても
驚かないのは
目の前の上司である彼と
部下である私が
恋人関係であるから_____