りせい君の理性が危うい瞬間




狂っている。

彼はどこまでも、おかしな存在だ。


利生君の後ろで、異様に輝き始めるお月様。


そのお月様に照らされながら舞うお金は、利生君の存在をこの上なく際立たせるためだけにヒラヒラと。

ただの桜吹雪のように、浮いては落ちてを繰り返していた。



これ以上...利生君を見ていると頭がおかしくなってしまいそうだったから


私はこの場所から逃げ出した。



怖い


怖い


怖い...っ!!


なにを考えてるのか、よく分からない
あんな変な人に心が.....いっぱいになってしまうことが怖い。



恐れてしまったのだ。


お金にさえ屈しない...逆に利生君の方がお金を奴隷の様に扱っているような気さえしてくる。


働かなければ生きられない...お金によって滅んでしまった私の家族。



そんな私の憎むべき相手がお金なら、そのお金さえ屈服させてしまう利生君はーーー私にとってなんなのか。




そう考えてしまった瞬間から、私はきっと利生君に負けてしまったんだと思う。







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