りせい君の理性が危うい瞬間




救急車を待っている間、苦痛でしょうがなかった。


生きてる心地がしないとは、こういう事を言うのだろう...。



救急車に運ばれた母を呆然と見ている私を、救急救命士の1人が安心させるように肩を抱き、救急車に乗せてくれた。



病院に着くと、緊急治療室に運ばれた母。


その数分後、診察室に呼ばれ医者から話を聞くと。



「過剰なアルコール摂取と疲労、そして何らかのストレスで倒れたみたいですね。
入院が必要です...すぐにでも大きな病院に転院させた方がいいかと。」


「そんな...」



愛する人を失った悲しみの中で、私を生かすために働かなければいけないと一生懸命になっていた母。


寝不足が続き、一息吐く暇さえなかったんだ...相当ストレスが溜まっていたのだろう。


そしてそのストレスのはけ口が、お酒だったなんて。



でも。



大きな病院に母を移したその後のお金は...どうすればいいの?



死んでほしくない。


でもお金なんてない。



またもお金に苦しめられた私は、その場で決断することが出来なくて。

次の日、寝不足のまま学校に行くと、席に着いた瞬間に悪魔が現れた。




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