りせい君の理性が危うい瞬間
「きゃ...っ!」
躊躇(ちゅうちょ)なんてものは、彼にはないらしい。
利生君にプールに放り投げられて、ーードボンと透明な水が私のボヤけた視界を支配する。
溺れてしまったら楽な世界も、溺れるまでが苦痛でしょうがない。
こんな悲惨な状況でも、生きたいと思ってしまう人間らしさが...余計私を惨めにさせる。
「ぷはっ!ごほっ...ごほっ!!」
浮いた体が空気を求めてしまった。
うっすら目を開くと、私をプールに放り投げた利生君は、無表情でこちらを見ている。
「なんで...こんな事するの?」
なんなの、昨日から。
必要以上に構ってきて、新手のいじめ?
私...利生君に嫌われることでもした?
もうなんか...意味わかんない。