りせい君の理性が危うい瞬間








家の天井にロープをぶらさげ、そのロープで首を絞めて亡くなっていた父。


見つけた時には息なんてしていなかった。



してたのは...左手の薬指にはめられた、母との愛の証だけだった。



なんで父が死ななければいけなかったのか。



この何ヶ月何度も何度も、脳みそが擦り切れるくらい考えても、やっぱり分からなくて。



いま、父が勤めていた会社の屋上に来ている。




もう潰れて廃ビルと化してしまったこの場所で
私は1人、空を見つめていた。



目の中で雲だけが流れていく空を。


ただただ、涙も枯れてしまったこの目で見ていたんだ...。







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