りせい君の理性が危うい瞬間
相手を思って高ぶってしまう感情を愛と呼ぶなら
利生君にとって憎しみも愛と一緒らしい...。
もう今更授業に出てもやる気が出てこないから。
プールの水で冷えた体を乾かすため、家に帰って着替えることにした。
夏、太陽真っ盛り。
そんなアイスも数秒で溶かしてしまう元気のいい気温の中、水でびしょびしょに濡れた私と利生君が道を歩いてるんだもん。
通行人に嫌なほど注目されたのは言うまでもない。
「...なんでついてくるの?」
数分して着いた家のドアに鍵を差し込んでる最中、私のすぐ後ろに居る利生君に言う。
利生君はニコッと笑って...どうやら私の家の中に上がる気満々らしい。
「羽子(わこ)の家、すっごく興味ある」
「...利生君に下の名前呼ばれるの、なんか変な感じがする」
「あっ、胸がキュンと鳴った?」
「なってない なってない」
「冗談じゃん。 冷たいねー羽子ちゃん」